という事でこの前買った「はじめてのハンドクラフト・ギター」を読んでみました。
まずはどういった本かはリットー・ミュージックのサイトでどうぞ。
https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3117213008/
自分が購入する前に勘違いしていたのがこの本が「初めてギターを作る人の為の指南書」的な本だと思っていましたが購入して読んでみて感じたのが「初めてギターを作った人が製作過程を掲載した本」という事。なので失敗した出来事が書かれていたりトリマーでザグリを行う際に滑りやすく巻き込み事故に遭う可能性がある軍手を使っていたり見ていて危なっかしい写真があったりします。(後半では作業用ゴム付き手袋→素手となっていたので危ない事があったのか誰かに指摘されたのかも)でも失敗した所があると読んでいる人はそこを気を付けると失敗する可能性が低くなると思うので良い試みかと思います。
では内容を大まかに書くとSTEP0からSTEP4まであり
STEP0は準備編としてギターの基本的な構造の紹介やギター製作に必要な工具、あると便利な工具の紹介、ギター用木材やパーツや工具が購入できるショップサイトの紹介、そしてスケール長に対するフレットの位置の計算方法例えばスケールが25.5インチ(648mm)だと1フレットの位置はナットから36.369mmといった具合に25.5インチは最初からフレットの位置が掲載されていて他のスケールでは計算方法が載っているので計算するとフレット位置が分かるようになっています。あと設計図の書き方(PC使用)も掲載されています。
ちなみに今回の本に掲載されているギターの設計図は本に縮尺版が掲載されているのでプリントサービス等で拡大プリントする事もできますし、リットー・ミュージックのサイトからpdfファイルでダウンロードする事もできるのでそれを100%のサイズをプリントすると良いと思います。
https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3117213008/
STEP1は製作の初歩としてホームセンターで売られている角材(スプルース)を使ってラップスティールギターを作るというもの。最初に製作に必要なパーツ全品(価格の目安付き)と大まかな製作の流れの後にそれぞれの暮らし位作業工程が紹介されているので分かりやすく作業を進める事ができます。基本は設計図を100%サイズでプリントアウトして木材に貼り付けてサイズ通りにカット、穴開け、ザグリを行って組み立てるというものでラップスティールギターはスライドギター用なのでフレットを打つ必要が無いので比較的簡単な作業で製作できそうです。
STEP2はネットオークションで手に入れたジャングギターを再生するというもの。ネットオークションやハードオフなどのリサイクルショップ等ではボロボロになったギターを格安で販売されていますがボディの塗装を剥がして塗り直したりフレットをすり合わせたり電装系を配線し直す事でギターの構造を理解できますし作業に慣れるメリットがあるので良い事だと思います。特にボディとネックを別々に購入した場合はスケールを確認したりブリッジの位置を調整したりする必要があるのでそういった場合この本が参考になると思います。
STEP3ではシガーボックス風ミニギターの製作。シガーボックスギターはその名の通りシガー(葉巻)の箱を使って作られたのが始まりと言われていて弦の数が3本や4本、1本の物もあり今回はシガーボックスではなくお皿が入っていた木箱を使って4弦のミニギターを製作しています。この製作からフレットの溝切りとフレット打ちがあるので少し難易度が上がります。
STEP4はいよいよ一から本格的なギターを製作。基本的にはこれまで同様に設計図をプリントアウトして木材に貼り付けてサイズ通りにカット&ザグリ等を行いますがコンター加工やネックシェイピング等設計図では表せない部分の加工やトラスロッドの埋め込みやセットネックの接着等難易度が高いので作業工程をじっくり確認して予め自分用の作業工程表等を作って行うと良いと思います。自分も一からギター製作をやった事がありますがボディよりもネック製作が難しかったのでネック製作は作業工程の確認をじっくりしておくべきだと思います。
そんなこんなで無事にギターは完成していましたが少し気になったのがSTEP4では工房にあるピンルーターやユニバーサルサンダーや大型ボール盤等が使われていた事。勿論無くても製作に時間が掛かるだけで完成させる事はできるので問題ありませんができれば最後までDIY用工具でやってほしかったかな?
ちなみに裏表紙に掲載されているサンバーストのギターが完成品です。
各STEPの合間にはコラムのコーナーがあってフィルムコンデンサーやピックアップを自作する方法が掲載されていて参考になります。個人的にはピックアップ製作方法はかなり参考になりました。
という事で一通り読んで感じたのはプロのアドバイスや危険箇所の指摘みたいなのがあるともっと良かったかもと思いました。特に危険度が高い作業は大怪我にも繋がる事があるのでプロの視点での注意等があると用心できそうです。
とはいえこの一冊でギター製作に必要な事が大体分かるのでギター製作に興味がある人は一通り読んで参考にしつつ危険度が高い作業は他の自作ギターのサイトも参考にして自分なりに製作工程を考えてみると良さそうです。くれぐれもギター製作の際は怪我をしないように注意して作業を行いましょう。
怪我をしても誰も責任を負ってくれませんからね。
この本を読んでまたギター製作がしたくなりました。体調が落ち着いたらまたやってみたいです。